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シカ糞分析の提案

 私は 1970 年代からシカと群落の関係を研究してきました。当時はもちろん、その後も植物生態学者はこのことに関心がなく、そういうことは金華山や奈良公園のような「特殊な場所のこと」とみなされていました。1990 年代になるとシカが分布拡大し、場所によっては高密度になってきました。そのことから植生学会企画委員会 2011 がアンケート調査をして全国の「シカ被害マップ」ができたことは画期的なことでした。そしてそれはシカと植生の調査プロジェクト(代表前迫ゆり氏)として継続されています(http://shokusei.jp/baser/sika/sikares)。

 私は 2015 年に定年退職し、時間がとれるようになったので共同研究者を得て神奈川県の丹沢(https://doi.org/10.18960/hozen)、山梨県の早川町(https://doi.org/10.18960/hozen.2020)、鳥取県の若桜町(https://doi.org/10.18960/hozen.2042)などでシカの糞分析をし、高密度な場所では夏でも枯れ葉などを食べていることを知り驚きました。全国ではまだ低密度の場所もあり、そのような場所で植生調査をしておられる方も多いと思います。植物側から影響を調べるのも大切ですが、そのシカがどういう食性を持っているかを知ると、起きている現象がリアルに捉えられ、理解が深まります。
 そこで自分の調査地のシカの食性に関心がある人は共同研究としてシカの糞分析を引き受けますので、高槻に連絡をいただければ幸いです。実際にはいくつかの条件を確認しないといけませんので、具体的作業はその後になります。
高槻成紀

  2023/02/24   Agbys